1月のテーマは「ワンヘルスを理解しよう」です。
ワンへルス(One Health)とは
ワンヘルスとは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康と捉え、一体的に
守っていくという考え方です。
私たちが健康に暮らしていくためには、地球に暮らす動物、そして地球自身も健康である
必要があります。
「ワンヘルス」を推進するための6つの柱
①人獣共通感染症対策
「人獣共通感染症」は、人と動物双方に感染する共通感染症です。人の感染症の約60%を
占めると言われており、新型コロナウイルスや牛海綿状脳症(BSE)、鳥インフルエンザなど国内外で大きな社会問題となった病気がたくさんあります。
また、近年新たに発見された「新興感染症」の約75%にあたるともされ、WHO(世界保健機関)で確認されているものだけでも200種類以上あります。
これらの感染を防ぐには、病原体を保有している動物や食品など(感染源)、飛沫感染や接
触感染などの病原体が体の中に侵入する経路(感染経路)、ウイルスや細菌などに寄生され
る生き物(宿主)の3つの要因への対策が必要です。
②薬剤耐性菌対策
「薬剤耐性菌」とは、抗微生物剤に対し抵抗性を獲得した細菌のことです。この薬剤耐性菌
による感染症が発生した場合、これまで使用していた抗微生物剤が効かなくなるなど、治療
が困難となります。
今、この薬剤耐性菌が世界的に増加する一方、新たな抗微生物剤の開発は減少傾向にあり、
世界的にも大きな問題となっています。
国連はこのまま何も対策をとらなければ、2050年までに薬剤耐性によって、発展途上国を
中心に年間1000 万人が死亡し、がんによる死亡者数を超え、経済的にもリーマンショック時
の金融危機に匹敵するダメージを受ける恐れがあると警告しています。
③環境保護
近年のグローバル化や大量消費・大量生産は、森林や生態系を破壊し、気候変動の一因
になっています。
その一つ、地球温暖化は、豪雨や台風など様々な災害の原因となり、人だけでなく動植物
にも大きな禍をもたらします。
また、大規模な森林伐採や急速な開発による都市化は、それまでジャングルの奥地に生息
していたウイルスなどの病原体と人が遭遇する機会となり、新しい感染症が発生する恐れが
あります。
自然環境は、人を含む様々な生物が生きる場です。生態系を守り、
人と動物
とのすみ分けが保たれてこそ、人と動物の健康を保つことができます。そして、
健全で豊かな自然環境を次世代に引き継いでいかなければならないことも忘
れてはなりません。
④人と動物の共生社会づくり
犬や猫、鳥などの愛玩動物(ペット)は、私たちの生活に潤いや安らぎを与え、今や家族の
一員となるほど重要な存在になっています。 また、災害救助やアニマルセラピーなど、私た
ちの社会活動の様々な場面で活躍する動物もいます。
このように人と動物が共生している一方で、安易な飼養や遺棄や虐待、悪質な業者による
販売などが社会問題となっています。また、過度なふれあいや不適切な管理により、愛玩動
物を介して人獣共通感染症に感染する事例も発生しています。
人と動物との関係をより良く保つためには、動物の生態や本能、習性をよく理解し、動物
を飼う場合には、飼い方等を十分に知っておく必要があります。
⑤健康づくり
人の健康は、適度な運動習慣の定着や、食生活の改善といったことに加えて、人や動物が
心も体も健やかな状態で過ごすことができる生活環境において育むことができます。
例えば、豊かな自然の中を散歩したり、動物と触れ合うことは、年齢や性別、障がいの有無
に関わらず、人を元気にする力があります。
森林とふれあうことは、ストレスホルモンの減少や血圧の低下、脈拍数の減少、免疫機能の
増強等
の効果があることが科学的にも実証されています。
これからの健康づくりは、動物や環境とのつながりを大事にしていく必要があります。
私たちは、人だけで生きているのではなく、健全な環境と様々な動植物との関係の中で生き
て、健康を維持しているのです。
⑥環境と人と動物のより良い関係づくり
「食」は、私たちの健やかな毎日を支える源です。私たちの健康は、健全な環境で生産された
健康な家畜や、安全な農作物・水産物などを食べることで維持されています。
そして、米や野菜等を作るには、健全な環境の農地や水が必要です。また、肉・卵・牛乳など
の畜産物は牛・豚・鶏などが健康に育つよう、その飼育環境や餌の安全性に配慮しなければな
りません。さらに、納豆やチーズなどの発酵食品は、乳酸菌やビフィズス菌などの微生物の働
きで作られています。
このような「食」に対する知識を持ち、「何を食べるのか」「何を食べてはいけないのか」を学
ぶ「食育」を通して、農作物・水産物が作られている環境について関心を持つことも大切なこ
との一つです。
出典)福岡県ワンヘルス推進ポータルサイト(https://oneheal
1月:ワンヘルスを理解しよう