気候変動の影響と適応策について
全国各地で気候変動による様々な影響が出ています。また、今後発生が予想されるものもあります。
また、様々な影響に対し、各主体において適応策の検討が進められています。
気候変動による影響とその適応策に関する情報を7分野に分けて情報提供しています。







![]() 自然災害 |
![]() 健康 |
![]() 水環境・水資源 |
![]() 自然生態系 |
![]() 農林水産業 |
![]() 産業経済活動 |
![]() 国民生活・都市生活 |
1.自然災害
気候変動による海面水位の上昇や極端な気象現象(大雨事象)の発生頻度の増加、降雨強度の増大、強い台風の発生割合の増加などの気候・自然的要素は、それぞれが複雑に影響し合い河川の洪水や内水氾濫の発生、土砂災害の増加、高潮・高波の頻発化や激甚化を引き起こします。また、波浪特性の変化は、砂浜を堆積・侵食させます。
これらの影響は、様々な産業や経済活動、国民生活等の他分野にも波及します。
【出典:気候変動適応影響評価報告書】
福岡県の主な適応策
毎年全国各地で大規模な自然災害が発生する中、頻発化・激甚化する自然災害から県民の生命・財産を将来にわたって守るため、インフラの整備・保全などを計画的に推進するとともに、すべての県民が大規模自然災害などの危機事象に備え、安全で的確な避難行動をとることができるよう危機対応力の一層の充実・強化を図ります。特に、水害(洪水、高潮、海岸侵食)、土砂災害への対策について重点的に取り組みます。
- 市町村との連携による防災意識の啓発
- 地すべり防止施設及び急傾斜地崩壊防止施設の整備
- 河道や河川堤防の整備
- 海岸浸食が進む砂浜の回復など海岸環境の保全

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 |
福岡県 |
最新の気象や避難情報等の防災情報を公開 福岡県地域防災計画の各種計画を掲載 流域治水に関する情報を掲載 土砂災害警戒区域や、土砂災害の防止対策に関する情報を掲載 |
2.健康
気候変動による気温上昇は熱ストレスを増加させ、熱中症リスクや暑熱による死亡リスク、その他、呼吸器系疾患等の様々な疾患リスクを増加させます。特に、暑熱に対して脆弱性が高い高齢者で影響が顕著です。加えて、気温上昇は感染症を媒介する蚊・ダニ等の分布域・個体群密度・活動を変化させ、節足動物媒介感染症の流行地域や患者発生数に影響を及ぼす可能性があります。 また、猛暑や強い台風、大雨等の極端な気象現象の増加に伴い自然災害が発生すれば、被災者の暑熱リスクや感染症リスク、精神疾患リスク等が増加する可能性があります。
【出典:気候変動適応影響評価報告書】
福岡県の主な適応策
気候変動が人の健康に及ぼす影響には、暑熱による直接的な影響と、感染症への影響等、間接的な影響が挙げられます。これらの影響に対する取組を推進します。
特に、熱中症への対策について重点的に取り組みます。
- 熱中予防の普及啓発・注意喚起
- 蚊媒介感染症などの感染症対策
- 光化学オキシダント等濃度のモニタリング

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 |
福岡県 |
熱中症対策に関する情報を掲載 蚊媒介感染症やダニ媒介感染症の注意喚起を実施 県内の大気常時監視測定局の測定値をリアルタイムで公開 |
3.水環境・水資源
気温の上昇は、湖沼やダム貯水池、河川、沿岸域や閉鎖性海域の水温を上昇させ、水質にも影響を及ぼす恐れがあります。さらに、気温の上昇とともに、農業用水・都市用水等の水需要量や、人々の水使用量は増加することが想定されますが、冬季の降雨事象の増加とともに積雪量が減少することや融雪時期の早期化などにより、需要期に水を供給することができない可能性も懸念されています。
降水パターンの変化は、ダム貯水池や河川への土砂流入量を増加させ、沿岸域や閉鎖性海域では、河川からの濁質の流入増加も懸念されます。また、無降水日数の増加等や積雪量の減少、蒸発散量の増加による河川流量の減少や地下水位の低下を引き起こします。
海面水位の上昇は、河川河口部や地下水において塩水遡上範囲を拡大させ、塩水化を引き起こします。
これらの影響は、農業生産基盤や自然生態系、国民生活等の他分野にも影響を及ぼします。
福岡県の主な適応策
気候変動による気温の上昇により、水温・水質の変化や、降水日数の減少による渇水が発生します。それにより、農業生産基盤や自然生態系等の他分野にも影響が生じることから、これらの影響に対する取り組みを推進します。

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 水環境情報に関する総合的な情報サイト |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 |
福岡県 |
福岡県の公共用水域や地下水、海水浴場の水質測定結果を掲載 福岡県主要ダムの貯水状況を掲載 水資源の現況や水需給の動向など、福岡県の水に関するデータを掲載 福岡県が取り組んでいる雨水利用の事例やマニュアルを掲載 |
4.自然生態系
気候変動は、分布・個体数の変化や生物季節の変化等を通して、生態系の構造やプロセスに影響を及ぼします。さらに、これらは、生態系サービスを通して、農業・林業・水産業分野や国民生活、産業経済分野へも影響を及ぼします。
人間社会は食料や原材料、極端な気候現象による被害の緩和、水質や大気質の向上、文化的・美的価値等の生態系が提供する様々な生態系サービスに依存しています。気候変動の影響によりこれらを提供する生態系が効果的に機能しなくなると、提供される生態系サービスが劣化したり、喪失したりする恐れがあります。

福岡県の主な適応策
気候変動に対する順応性の高い健全な生態系を保全・再生するため、これまで行ってきた生物多様性保全対策について、予測される気候変動影響を考慮しながら、より一層推進します。
- 野生動物の個体群管理、被害防除対策
- 生物多様性の保全と再生を図る取組の推進
- 希少種保全活動及び外来種防除の推進
- 森林資源のモニタリング調査

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 川の生きものを指標として、河川の水質を総合的に評価する「全国水生生物調査」の情報を掲載 |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 |
福岡県 |
生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画として策定した「福岡県生物多様性戦略」を掲載 農林産物の被害軽減、人的被害の未然防止を図ることを目的として策定された「福岡県第二種特定鳥獣(イノシシ・シカ)管理計画」について掲載 ・外来種について~外来生物法と侵略的外来種リストと防除マニュアル~ 福岡県侵略的外来種リストと防除マニュアルを掲載 |
5.農林水産業
気候変動は、作物の生育や栽培適地の変化、病害虫・雑草の発生量や分布域の拡大、家畜の成長や繁殖、人工林の成長、水産資源の分布や生残に影響を及ぼし、食料や木材の供給や農業・林業・水産業に従事する人々の収入や生産方法に影響を及ぼします。
こうした影響は、気温や水温、CO2 濃度の上昇といった気候変動の直接的な原因によるものと、水資源量の変化や自然生態系の変化を介した間接的な原因によるものがあります。
また、農業・林業・水産業分野における気候変動影響は、商業、流通業、国際貿易等にも波及することから、経済活動に大きな影響を及ぼします。


【出典:気候変動適応影響評価報告書】
福岡県の主な適応策
農業では、気候変動に対応した新品種の開発や栽培・飼養管理技術の普及に取り組みます。また、水産業では、水温変動による漁場環境の変化に対応した取り組みを行います。

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 気候変動への適応を自社のビジネス機会として捉え、他者の適応を促進する製品やサービスを展開している取組事例 |
福岡県 |
福岡県農林業総合試験場の各主要な研究成果を、年度別・品目別に掲載 作物別の病害虫の発生予想やほ場や捕虫ワナ(トラップ)での病害虫の調査データを掲載 福岡県水産海洋技術センターの試験研究成果、研究報告、事業報告などを掲載 |
6.産業経済活動
気候変動は、気温の変化、自然災害の強さや頻度等に変化をもたらし、企業活動に影響を及ぼし得るものの、産業・経済活動は多様であり、製造業、商業、医療等の各種分野に影響を及ぼすメカニズムがはっきりしていません。また、欧米等の研究事例では気候変動が安全保障等に影響を及ぼす可能性を示唆しているものの、我が国ではこれらに関する研究は限定的です。
【出典:気候変動適応影響評価報告書】
福岡県の主な適応策
気候変動は、気温の変化、自然災害の強さや頻度等に変化をもたらし、企業活動に影響を及ぼすことから、これらの影響に対する取組を推進します。
- 災害時における緊急支援物資の保管及び荷役等に関する協定
- 災害に強い水道施設の構築
- 気温の上昇抑制等に効果がある緑地・水面の確保
- 都市公園事業、道路緑化僕の推進

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 |
---|---|
国立環境研究所 |
事業者の適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 気候変動への適応を自社のビジネス機会として捉え、他者の適応を促進する製品やサービスを展開している取組事例 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に関する事業者の取組事例を紹介 気候予測及び気候変動影響予測情報の活用や気候変動適応の促進を目指し、主に気候変動及び影響の予測やTCFD等のコンサルティングサービスを行っている企業との意見交換・協働の場 |
福岡県 |
商工会または商工会議所が関係市町村と共同で作成する「事業継続力強化支援計画」を小規模事業者支援法第5条第7項の規定に基づき公表 |
7.国民生活・都市生活
気候変動による短時間強雨や渇水頻度の増加、強い台風の増加などは、交通・電力・通信・水道・廃棄物処理などの生活に密接にかかわる様々なインフラ・ライフラインや、地域独自の伝統行事・観光業・地場産業等に被害を及ぼし、気温上昇に伴う生物季節の変化は、国民の季節感や、サクラ・紅葉の名所等での伝統行事・観光に影響を及ぼす可能性があります。都市部では、気候変動による気温の上昇にヒートアイランド現象が加わることで、熱ストレスが増大し、睡眠の質の低下やだるさ・疲労感の増加などといった形で、都市生活における快適さに影響を及ぼします。

【出典:気候変動適応影響評価報告書】
福岡県の主な適応策
気候変動による短時間強雨や渇水の頻度の増加、強い台風の増加などは、交通・電力・通信・水道・廃棄物処理などの生活に密接にかかわるインフラ・ライフラインや、地域独自の伝統行事・観光業・地場産業等に被害を及ぼすことから、これらの影響に対する取組を推進します。
- 災害時における緊急支援物資の保管及び荷役等に関する協定
- 災害に強い水道施設の構築
- 気温の上昇抑制等に効果がある緑地・水面の確保
- 都市公園事業、道路緑化僕の推進

国や自治体の適応策
環境省 |
気候変動適応法第10条に基づき、中央環境審議会における審議及び関係行政機関との協議を経て作成された気候変動影響の総合的な評価についての報告書 |
---|---|
国立環境研究所 |
適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、一目で分かる様に体系的に掲載 気候変動への適応を自社のビジネス機会として捉え、他者の適応を促進する製品やサービスを展開している取組事例 |
福岡県 |
最新の気象や避難情報等の防災情報を公開 大規模災害等に伴う災害廃棄物の処理についての計画 |