気候変動について
1. 気候変動とは?
2. 気候変動の要因
3. 気候変動情報
4. 関連情報
1.気候変動とは?
近年、猛暑日が増加したり、集中豪雨などの極端現象が頻繁に起こったりしていて、私たちの生活にさまざまな影響を及ぼしています。このように、気温や雨の降り方などが数十年を超える長期にわたって変化する現象のことを「気候変動」といいます。気候変動対策として初の世界全体の取り決めである気候変動枠組条約(環境省ホームページへリンク)では、「気候変動」について「地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるもの」と定義しています。
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「異常気象」と「地球温暖化」
「異常気象」とは、気温や雨、雪などの気象現象のうち、めったに起こらない規模のものを指します。気象庁(外部サイトへリンク)では、原則として「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」(気象庁ホームページより抜粋)と定めています。
また、「地球温暖化」とは、「地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。」(地球温暖化対策の推進に関する法律より抜粋)とされていて、気温や海水温が上昇する現象のことを指しています。

2.気候変動の要因

【出典:燃料別に見る世界の二酸化炭素排出量の推移/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト】
気候変動と人間活動の因果関係について、これまで世界の研究者による解析が進められていて、そうした研究成果を踏まえてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、第6次評価報告書(外部サイトへリンク)の中で「人間活動の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断定しています。
そのため、温室効果ガス排出量の削減を行う緩和策を更に強化することはもちろんのこと、気候変動の影響は既に世界各国で生じているので、その影響に対応する適応策を強化することも求められています。
3.気候変動情報
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海面水温・水位![]() |
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気温
福岡県の年平均気温の上昇割合は2.5℃/100年であり、九州・山口県の地点の中で最も大きくなっています。
福岡県の年平均気温の上昇割合は、日本の年平均気温の上昇割合(1.35℃/100年)よりも大きくなっており、地球温暖化による上昇に加え、都市化の影響により地域的な気候の影響を受けた結果と考えられます。
※ 折れ線(黒)は各年の値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
福岡県の真夏日及び猛暑日
真夏日(日最高気温が30℃以上の日)及び猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)の日数は統計的に有意に増加しています。
また、猛暑日の日数は1990年代半ばを境に大きく増加しています。


※ 棒グラフ(緑)は各年の値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
福岡県の熱帯夜及び冬日
熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上のことを指しますが、ここでは日最低気温25℃以上の日数を熱帯夜日数として扱います)日数は統計的に有意に増加しています。
また、冬日(日最低気温が0℃未満の日)の日数は統計的に有意に減少しています。
※ 棒グラフ(緑)は各年の値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
気温(将来予測)
九州北部地方の気温
予測結果は、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」で用いられている気象庁の予測に基づきます。ここでは以下の2通りの設定(以下、シナリオと呼びます)で行った予測の結果を示しています。
2℃上昇シナリオ(RCP2.6) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約2℃上昇。パリ協定の2℃目標が達成された世界に相当。 |
4℃上昇シナリオ(RCP8.5) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約4℃上昇。追加的な緩和策を取らなかった世界に相当。 |
【出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動 2020 — 大気と陸・海洋に関する観測・ 予測評価報告書 —」、福岡管区気象台「福岡県の気候変動」】
九州北部地方の年平均気温は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約4.1℃、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約1.3℃上昇すると予測されます。

【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
九州北部地方の真夏日及び猛暑日
九州北部地方の真夏日の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約57日、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約15日増加すると予測されます。
また、九州北部地方の猛暑日の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約25日、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約4日増加すると予測されます。
※ 20世紀末(灰色部分)に対して、予測される変化(20 世紀末と21 世紀末の差)を加算または減算した棒グラフで示す。また、年々変動の幅を細い縦線で示す。予測される変化を表す部分の色は、青が2℃上昇シナリオ(RCP2.6)に、赤が4℃上昇シナリオ(RCP8.5)に、それぞれ対応する。
九州北部地方の熱帯夜及び冬日
九州北部地方の熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上のことを指しますが、ここでは日最低気温25℃以上の日数を熱帯夜日数として扱います。)の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約57日、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約15日増加すると予測されます。
また、九州北部地方の冬日の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約29日、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約13日減少すると予測されます。
【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
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降水量
福岡県の年降水量は、全国的な傾向と同様に、統計的に有意な変化傾向は見られません。

【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
福岡県の短時間強雨
福岡県の3時間降水量100㎜以上の年間発生回数は増加しています。全国的な傾向として、極端な大雨は増加しており、このような大雨の頻度の増大には、地球温暖化が影響している可能性があります。




※ 棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
福岡県の大雨
福岡県の日降水量100ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数は、統計的に有意な変化傾向は見られません。

※ 棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
福岡県の無降水日数
福岡県の年間無降水日数は、統計的に有意に増加しています。全国的な傾向として、極端な大雨の頻度が増える反面、降水がほとんどない日も増加しています。

※ 棒グラフ(緑)は各年の値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
降水量(将来予測)
予測結果は、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」で用いられている気象庁の予測に基づきます。ここでは以下の2通りの設定(以下、シナリオと呼びます)で行った予測の結果を示しています。
2℃上昇シナリオ(RCP2.6) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約2℃上昇。パリ協定の2℃目標が達成された世界に相当。 |
4℃上昇シナリオ(RCP8.5) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約4℃上昇。追加的な緩和策を取らなかった世界に相当。 |
【出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動 2020 — 大気と陸・海洋に関する観測・ 予測評価報告書 —」、福岡管区気象台「福岡県の気候変動」】
九州北部地方の年降水量
九州北部地方の21世紀末の年降水量は、4℃上昇シナリオ(RCP8.5)、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)ともに20世紀末に比べて有意な変化は予測されていません。
※ 予測される変化(20 世紀末と21 世紀末の差)を棒グラフ、年々変動の幅を細い縦線で示す。棒グラフの色は、青が2℃上昇シナリオ(RCP2.6)に、赤が4℃上昇シナリオ(RCP8.5)に、それぞれ対応する。棒グラフが無いところに描かれている細い縦線は、20 世紀末の年々変動の幅を示している。
【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
九州北部地方の短時間強雨
九州北部地方の1時間降水量30mm以上の発生回数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約1.9倍に、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約1.3倍に増加すると予測されます。
また、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の年間回数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約2.8倍に、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約1.6倍に増加すると予測されます。
【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
九州北部地方の大雨
九州北部地方の日降水量100mm以上の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約1.3倍に増加すると予測されます。
また、日降水量200mm以上の大雨の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約2.3倍に、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)で約1.4倍に増加すると予測されます。


※ 発生回数を棒グラフ、年々変動の幅を細い縦線で示す。棒グラフの色は、灰色が20 世紀末に、青が2℃上昇シナリオ(RCP2.6)の21 世紀末に、赤が4℃上昇シナリオ(RCP8.5)の21世紀末に、それぞれ対応する。
【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
九州北部地方の無降水日数
九州北部地方では、無降水日の年間日数は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオ(RCP8.5)で約9日増加すると予測されます。
【出典:九州・山口県のこれからの気候の変化(将来予測)福岡管区気象台ホームページ】
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台風
日本の台風の発生数等

日本の台風(将来予測)
日本付近の台風の強度は強まると予測されます。猛烈な台風に着目すると、日本の南海上で存在頻度(一定期間当たりに、その場所に存在する個数)が増加すると予測されます。
文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編第7章を参照ください。
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生物気象現象
福岡県のさくらの開花日
福岡県の1953~2024年の統計によると、さくらの開花日は、約1.8日/10年の変化率で早くなっています。
※ 折れ線(黒)は各年の値、折れ線(青)は5年移動平均、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
福岡県のかえでの紅葉・黄葉日
福岡県の1953~2024年の統計によると、かえでの紅葉・黄葉日は、約6.2日/10年の変化率で遅くなっています。
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測結果)福岡管区気象台ホームページ】
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海面水温、水位
日本近海の海面水温

※ 図の青丸は各年の平年差、青の太い実線は5年移動平均値、赤の太い実線は長期変化傾向を示す。平年値は1991~2020年の30年間の平均値。
文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編第8-1章を参照ください。
日本近海の海面水温(将来予測)
予測結果は、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」で用いられている気象庁の予測に基づきます。ここでは以下の2通りの設定(以下、シナリオと呼びます)で行った予測の結果を示しています。
2℃上昇シナリオ(RCP2.6) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約2℃上昇。パリ協定の2℃目標が達成された世界に相当。 |
4℃上昇シナリオ(RCP8.5) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約4℃上昇。追加的な緩和策を取らなかった世界に相当。 |
【出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動 2020 — 大気と陸・海洋に関する観測・ 予測評価報告書 —」、福岡管区気象台「福岡県の気候変動」】
日本近海の平均海面水温の上昇の度合いは、20世紀末(ここでは1986〜2005年平均)に比べて、21世紀末(ここでは2081〜2100年平均)には、4℃上昇シナリオ(RCP8.5)では3.45℃(90%信頼区間:2.15~4.75℃)、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)では1.13℃(90%信頼区間:0.48~1.78℃)と予測されます。

文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編第8-2章を参照ください。
日本沿岸の海面水位
日本沿岸の平均海面水位には、10年から20年の周期を持つ変動と50年を超えるような長周期の変動があり、世界平均海面水位にみられるような観測期間を通して一貫した上昇傾向は認められません。1980年以降は上昇傾向が明瞭となっており、2006年から2018年の期間では2.9mm(0.8〜5.0mm)/年の上昇率となっています。
〇(青実線)は日本沿岸4地点の平均水位(その5年移動平均値)、△(赤実線)はその4地点を含む総計16地点の平均水位(その5年移動平均値)を示す(いずれも縦軸の目盛は図の左側)。比較として、世界平均水位を緑線で示す(縦軸の目盛は図の右側)。いずれも、1991~2020年の平均値との差(平年差)。青破線は4地点平均の平年差の5年移動平均値を後半の期間について示したものである。日本沿岸の観測地点については、詳細編図9.2.1を参照のこと。世界平均水位のデータは豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO)気候科学センターの世界平均解析値である。
文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編第9-1章を参照ください。
日本沿岸の海面水位(将来予測)
予測結果は、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」で用いられている気象庁の予測に基づきます。ここでは以下の2通りの設定(以下、シナリオと呼びます)で行った予測の結果を示しています。
2℃上昇シナリオ(RCP2.6) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約2℃上昇。パリ協定の2℃目標が達成された世界に相当。 |
4℃上昇シナリオ(RCP8.5) 21世紀末(2081〜2100年)の世界平均気温が工業化以前と比べて約4℃上昇。追加的な緩和策を取らなかった世界に相当。 |
【出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動 2020 — 大気と陸・海洋に関する観測・ 予測評価報告書 —」、福岡管区気象台「福岡県の気候変動」】
日本沿岸の平均海面水位の上昇の度合いは、20世紀末(ここでは1986〜2005年平均)に比べて、21世紀末(ここでは2081〜2100年平均)には、4℃上昇シナリオ(RCP8.5)では0.71m(0.46〜0.97m)、2℃上昇シナリオ(RCP2.6)では0.39m(0.22〜0.55m)と予測されます。※時点修正なし

文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」詳細版第10章を参照ください。
4.関連情報
- 福岡管区気象台
- 気象庁